毛利伸の憂鬱 5 征士

征士の場合。

 新しいシャツが嬉しくて、皆に見せたいと思った伸は、寝室で着替えるとすぐに一階に降りた。
 廊下で、一番最初に出会ったのは、征士。
「ねえ、征士。これ似合う?」
 伸がシャツを指差して、満面の笑顔で尋ねる。
「……」
 征士の反応はなかった。ただじっと、その襟元を見ている。
 似合ってなかったんだろうか、と伸が一瞬、笑顔を消した、そのタイミングで征士の手がその襟元に伸びた。
 わざと開けてあった一番上のボタンを丁寧に留めてから。
「うむ、これでよい。やたらボタンを外すのは行儀がよくないぞ、伸。」
「……あ、ありがとう。」
 通り過ぎてゆく仲間の後ろ姿を見送りながら、征士に現代服の善し悪しを聞いた自分の馬鹿ー!! と激しく後悔する伸であった。

 <終>


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