毛利伸の憂鬱 5 遼

 遼の場合

 新しい服の反応が知りたくて、伸は帰るとすぐに新品のシャツに袖を通してリビングへ向かった。
「あれ、遼、どうしたの?」
 ソファに一人、遼が寝転がっている。
「ああ、うん、もうちょっとしたら征士が帰って来るから待ってる。……それより伸、その服、どうしたんだ?」
「今日、買ったんだ。似合う?」
 にこにこと心から笑う伸に遼は近付くと、何かを警戒するようにぐるりと伸の周囲を巡った。
 そして一言。春うららの花畑のような満面の笑みを浮かべて。
「なんか伸、その格好、似合ってない。」
「え、似合ってない?」
「いつものチュニックっていうの? あれの方が似合ってる。」
「そ、そう……」
 笑みを凍らせたまま、遼お得意の「なぜなんだー!」をやりたい気分にかられる伸であった。

 <終>

ブラウザバック!!(笑)